二人称、もめごと、勧誘。
2008年1月8日「何食べてるんですか？先輩。」
包み袋にへばりついた紅ショウガを何の気なしに取っていると、
顔を上げたところにそいつがいた。
「焼きそばパン。それより先輩ってのやめてくんね？」
何故かなつかれて具合が悪い。
コトハ ナツホ。
この前のホームルームで、初めてこいつのフルネームを知った。
あだ名は「ハナ」がご所望らしい。
ハナはパックの牛乳をすすっている。
「タメなんだし、先輩は変だろ。キノでいいって。」
こいつ、聞いてるのか？
ヨシノ サクラ。漢字で書くと吉乃 櫻。
名前だけ見ると女みたいだけどこれが僕。
キノというあだ名はこの吉乃の読み替え。
誰がつけたかは・・・もう覚えてない。
「この学校には先にいるんだし、先輩は先輩でしょうよ。」
おかまいなく、という感じだが、それはこっちの加減だ。
「それに・・・」
教室を見渡した後、向き直し続ける。
「たぶん、私と同じタイプの人だから。」
何をエスパーみたいな。
「空気っていうか。でしょ？」
ぐっと顔が近づく。がっと思わず背を反らす。
「大人数の中で孤独しか感じない。そういう人。
でも一人でいたいけど独りぼっちがイヤ。そういう人。」
驚いた。たぶん、本当に同じタイプなのだろう。
だけど、こいつの面はそう感じさせない。
どちらかというとクラスの準・中心というポジションが
似合いそうな顔だ。
それにしても・・・。
座っているとはいえ、改めて頭のてっぺんから足の先まで見る。
初めて見たときに男だと思ったのは僕の過失じゃない。
「真っ平ら。」
ぼんやりとしながら口から出る。しまった。
ズゾッ。変な音ともに牛乳を飲む口が止まった。
その後、顔面ど真ん中にグーパンチが飛んできた。
5時間目はおかげさまで鼻栓とともに受けるはめになった。
しかも両方の鼻の穴。
「おい、どうしたヨシノ？鼻血か？」
「えぇ、タカハタさんのブラが透けてたので思わず。」
前の席のタカハタさんがさっと背中を押さえる。
ブレザー越しに見えるわけないじゃないか。
クラス（ほぼ男子のみ）がどっと笑った。
今日のノルマ達成。そんな気分だ。
鼻血犯は僕の少し先を歩く。
同じマンションだし、不思議なことはない。
ただ、今日は違う。
ハナが、家に来い、というのだ。
話があるらしい。
まぁ、どうせヒマだ、付き合ってやるよ。
「さ、上がって上がって。」
引っ越したばかりだからか、僕の家に比べ玄関も部屋も
すっきりしている。
「お母さん、先輩も連れてきたから何か出して。」
「あら、どうも。お隣の。サクラくんだっけ？」
よく似た顔が出てきた。
違いがあるとしたら凹凸くらい。顔とかも。
「ひとまず座って。」
なんとなく落ち着かない。
荷物を下ろしながら、イヤな予感がした。
「サクラくん、何がいいかしら。」
「え、いや、おかまいなく。」
できればコーヒーで。そう思いつつ。
「コーンスープがいい？それともポタージュ？」
飲み物かと思ったら食べ物を勧められるとは思わなかった。
「いやいやいや、飲み物じゃなくて？」
つっこまざるを得ない。
「何言ってるんですか、先輩、スープは飲み物ですよ。」
バリバリ食べ物だ、バカモノ。
たとえ飲み物だとしても客に勧めるな。
「それにこんな言葉があるじゃないですか、
カレーは飲み物だ、て。」
どこのお国の格言だよ！？
「じゃぁ、麻婆豆腐は何？」
なんとなく聞いてみた。二人は顔を見合わせて、
「やだなぁ、それは食べ物じゃないですか。」
え？今バカにされてる？バカにされてるよね？
なんたる似た者母娘。
しかたなしの選択肢、コーンスープを選ぶ。
ツブまでしっかり味あう。
「さてと。」
本題だ。スープをいただきに来たわけじゃない。
「何のようなんだ、本当は。」
「ん、それそれ。」
一生懸命、クルトンをつついていた。
「先輩は、毎日退屈だ、そうでしょ？」
そうだ。
「でもさ。」
カップのクルトンはすっかり潰れていた。
「人生なんて1回だけ、しかもこの学生時代なんてそのほんの
ちょびっとだけ。それを楽しめないのは損だよ。」
それはごもっとも。だから何だと言うんだ。
僕は今で満足。それ以上でもそれ以下でもない。
だからもう期待もできないし絶望もしない。
「だから私と同じ、そう、先輩みたいな人をお手伝いしたい。」
何を言ってるんだ、こいつは。
「私だけだと無理だった。でも、もう一人くらいいれば、
なんとかなりそうな気がする。」
ぐっと顔が近づく。油断した。動けず目が合う。
「私といっしょに、”学園生活楽しまない会”しましょう！」
親指を突き出し、満面の笑顔だ。
・・・。
3秒。間が空く。
3つほど、突っ込んでいいか。
何それ？僕はすでに強制参加なのか？
何より。
「なに、そのネーミングセンス！？」
↑↑↑
昨日の続き。
どちらかというとやりとりの妙を楽しみたかった。
展開的にいろいろパターン考えたけど、この程度くらいが
私の思考でも何とか追いつくかな、と。
今日も会社でした。
いやぁ、しんどいしんどい。
明日も会社なんですけどね。
本日は以上です〜。
包み袋にへばりついた紅ショウガを何の気なしに取っていると、
顔を上げたところにそいつがいた。
「焼きそばパン。それより先輩ってのやめてくんね？」
何故かなつかれて具合が悪い。
コトハ ナツホ。
この前のホームルームで、初めてこいつのフルネームを知った。
あだ名は「ハナ」がご所望らしい。
ハナはパックの牛乳をすすっている。
「タメなんだし、先輩は変だろ。キノでいいって。」
こいつ、聞いてるのか？
ヨシノ サクラ。漢字で書くと吉乃 櫻。
名前だけ見ると女みたいだけどこれが僕。
キノというあだ名はこの吉乃の読み替え。
誰がつけたかは・・・もう覚えてない。
「この学校には先にいるんだし、先輩は先輩でしょうよ。」
おかまいなく、という感じだが、それはこっちの加減だ。
「それに・・・」
教室を見渡した後、向き直し続ける。
「たぶん、私と同じタイプの人だから。」
何をエスパーみたいな。
「空気っていうか。でしょ？」
ぐっと顔が近づく。がっと思わず背を反らす。
「大人数の中で孤独しか感じない。そういう人。
でも一人でいたいけど独りぼっちがイヤ。そういう人。」
驚いた。たぶん、本当に同じタイプなのだろう。
だけど、こいつの面はそう感じさせない。
どちらかというとクラスの準・中心というポジションが
似合いそうな顔だ。
それにしても・・・。
座っているとはいえ、改めて頭のてっぺんから足の先まで見る。
初めて見たときに男だと思ったのは僕の過失じゃない。
「真っ平ら。」
ぼんやりとしながら口から出る。しまった。
ズゾッ。変な音ともに牛乳を飲む口が止まった。
その後、顔面ど真ん中にグーパンチが飛んできた。
5時間目はおかげさまで鼻栓とともに受けるはめになった。
しかも両方の鼻の穴。
「おい、どうしたヨシノ？鼻血か？」
「えぇ、タカハタさんのブラが透けてたので思わず。」
前の席のタカハタさんがさっと背中を押さえる。
ブレザー越しに見えるわけないじゃないか。
クラス（ほぼ男子のみ）がどっと笑った。
今日のノルマ達成。そんな気分だ。
鼻血犯は僕の少し先を歩く。
同じマンションだし、不思議なことはない。
ただ、今日は違う。
ハナが、家に来い、というのだ。
話があるらしい。
まぁ、どうせヒマだ、付き合ってやるよ。
「さ、上がって上がって。」
引っ越したばかりだからか、僕の家に比べ玄関も部屋も
すっきりしている。
「お母さん、先輩も連れてきたから何か出して。」
「あら、どうも。お隣の。サクラくんだっけ？」
よく似た顔が出てきた。
違いがあるとしたら凹凸くらい。顔とかも。
「ひとまず座って。」
なんとなく落ち着かない。
荷物を下ろしながら、イヤな予感がした。
「サクラくん、何がいいかしら。」
「え、いや、おかまいなく。」
できればコーヒーで。そう思いつつ。
「コーンスープがいい？それともポタージュ？」
飲み物かと思ったら食べ物を勧められるとは思わなかった。
「いやいやいや、飲み物じゃなくて？」
つっこまざるを得ない。
「何言ってるんですか、先輩、スープは飲み物ですよ。」
バリバリ食べ物だ、バカモノ。
たとえ飲み物だとしても客に勧めるな。
「それにこんな言葉があるじゃないですか、
カレーは飲み物だ、て。」
どこのお国の格言だよ！？
「じゃぁ、麻婆豆腐は何？」
なんとなく聞いてみた。二人は顔を見合わせて、
「やだなぁ、それは食べ物じゃないですか。」
え？今バカにされてる？バカにされてるよね？
なんたる似た者母娘。
しかたなしの選択肢、コーンスープを選ぶ。
ツブまでしっかり味あう。
「さてと。」
本題だ。スープをいただきに来たわけじゃない。
「何のようなんだ、本当は。」
「ん、それそれ。」
一生懸命、クルトンをつついていた。
「先輩は、毎日退屈だ、そうでしょ？」
そうだ。
「でもさ。」
カップのクルトンはすっかり潰れていた。
「人生なんて1回だけ、しかもこの学生時代なんてそのほんの
ちょびっとだけ。それを楽しめないのは損だよ。」
それはごもっとも。だから何だと言うんだ。
僕は今で満足。それ以上でもそれ以下でもない。
だからもう期待もできないし絶望もしない。
「だから私と同じ、そう、先輩みたいな人をお手伝いしたい。」
何を言ってるんだ、こいつは。
「私だけだと無理だった。でも、もう一人くらいいれば、
なんとかなりそうな気がする。」
ぐっと顔が近づく。油断した。動けず目が合う。
「私といっしょに、”学園生活楽しまない会”しましょう！」
親指を突き出し、満面の笑顔だ。
・・・。
3秒。間が空く。
3つほど、突っ込んでいいか。
何それ？僕はすでに強制参加なのか？
何より。
「なに、そのネーミングセンス！？」
↑↑↑
昨日の続き。
どちらかというとやりとりの妙を楽しみたかった。
展開的にいろいろパターン考えたけど、この程度くらいが
私の思考でも何とか追いつくかな、と。
今日も会社でした。
いやぁ、しんどいしんどい。
明日も会社なんですけどね。
本日は以上です〜。
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